MV制作 Part3~St.Martin-in-the-Fields~

このミュージックビデオの撮影チームは兄弟による映像会社だ。
なんと5人の男兄弟だというマン・ブラザーズというチームは、イギリスに来て依頼お世話になっている、某日本人ギタリストのマネージャーA氏に紹介していただいた。
打ち合わせでは、曲のコンセプトを丁寧に紐解いてくれて、それにピッタリのアイディアを次々と出してくれた。
この曲は、実はロンドンに対する複雑な心境が込められている。
イギリスでの音楽活動という目的、その前に立ちふさがる障害物はたった一つ、自分の自信の揺らぎだ。
その自信を揺るがせるものも一つしかない、それは他人からの否定的な意見だ。
このブログでも以前書いた記事に、弁護士から言われた、『出来ない理由』。
この歌は、そんな意見に対抗する歌。

そんなことをチームに話すと、それらのコンセプトを、ダンサーの動きを通して表現することを提案してくれた。
二人のダンサーが、そういった『障害物』を表現する振り付けで私の両脇から出て来る。
その中を、揺るぎない自信を持つ表情で進んでいくことで、歌のテーマである芯の強さを表現するというものだ。

すぐに、撮影にちょうどいいスタジオを見つけてくれて、スケジュールも決まった。
スタジオは、白い壁と高い天井ながらも、決して無機質ではなく、木の床がいい味を出している。

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振り付け師と二人のダンサーは、念入りにコンセプトに沿った振り付けを考えてくれて、テイク数も最小限に順調に撮影が進んだ。
ウエストエンドでのミュージカルにも出ているというダンサーたち。
イギリスではやはりパフォーミングアーツに対する環境も良く、こういった素晴らしいダンサーがすぐに見つかるのもロンドンならではなのではないだろうか。

mb_riefu9mb_riefu12そして驚いたのは、兄弟のチームワーク。映像の制作現場では、撮影よりもセッティングの方がはるかに時間がかかるもので、チーム内での効率の良いコミュニケーションが重要になってくるが、
さすが血のつながった兄弟、まさに阿吽の呼吸で撮影が進んでいった。

兄弟喧嘩はしないの?と聞くと、そこもプロ意識を持って、クライアントがいないときにこっそりと喧嘩することもあるよ、と話してくれた。
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MV制作 Part2~Business Trips~

このMVは、シンガポールで行った。撮影時はまだシンガポールに住んでいたので、現地のクリエイターとのコラボの機会を探していたのだ。

ちょうどそんなときに、現地の名門美大、ラサールの映像科の卒業制作の発表会に行く機会があり、そこで観た作品たちのクオリティの高さに驚いた。

この学校は、イギリスのThe Puttman Schoolという映像学校と提携を結んでいるため、イギリスが誇る高い映像科教育の恩恵も受けている。

そのとき見た作品では、エリート志向のシンガポールの中での社会的弱者やアンダーグラウンドな世界をテーマにしたドキュメンタリーが印象的で、

どれもコンセプトが面白く、シネマトグラフフィーもプロフェッショナル顔負けのクオリティーだった。

ラサールの先生に紹介していただき、最近卒業してプロダクションを設立したTanglin Filmsに制作を依頼した。

彼らは現役の学生からの信頼もあつく、ボランティアを募ると15人近くの学生さんたちが協力してくれて、大学にある撮影スタジオに、3日間ほぼ徹夜でベニヤ板やダンボールで大掛かりなステージセットを作ってくれた。

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プロのプロダクション会社でもこの手際の良さには敵わないのではないだろうか、とういぐらい頼もしい学生さんたち。風格もこの通り!

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日本でも10本以上ミュージックビデオの撮影現場を目の当たりにしてきたが、こんなに活気のある現場は初めてだった。

そして黙々と作業していた学生さんの一人が、撮影終了後に、私の音楽をずっと聴いていてくれたと話してくれて、サインを求めてくれたのが嬉しかった。

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この撮影中は、普段関わる事がなかった現地の学生さんたちとの貴重な交流の機会にもなった。

完成した作品のクオリティーも素晴らしいものだった。

日本からシンガポールへ、そこで出会った人たちのアイディアと力で、海を渡ってイギリスで発表できる作品になったことに感激だ。

ミュージックビデオ制作 Part1~SIGN~

今やミュージックビデオはSNSでの宣伝方法として、アーティスト写真などよりも重用視されている。

今回初めてイギリスで制作したミュージックビデオの曲は、SIGNというエキセントリックな曲。

夜中の2時に夢の中で出てきた曲で、ぬくっと起きてその時に瞑想状態で書き上げた。

歌詞の意味合いも無意識で作ったものなので、後になって『こういうメッセージだったのか?』と自分でも驚きだった、ユニークな一曲だ。

通常ミュージックビデオの撮影は、コンセプトの打ち合わせから始まり、カメラマンやスタッフの手配、具体的なスケジュール、ロケハン、撮影と過程がある。

独立してからは全ての過程を自分で管理しているが、イギリスでの撮影となると更にそのDIY感の工夫が大事になってくる。

まずはクリエイターと繋がることから始まる。

美大時代の友達に、ロンドンの映像カメラマンを紹介してもらった。

彼は卒業後シネマトグラフィーの勉強を大学院で続け、映像カメラマンとしてBBCや企業の仕事をこなしているという。

ただ、プロダクション会社ではないので、編集などはできないという。

この時期ちょうどPremier Pro(映像編集ソフト)の使い方を学び始めていたので、編集は自分でやることにして、このカメラマンB氏に撮影を依頼する事にした。

撮影場所は、前から気になっていたHackney Wickのグラフィティーアートが多く見られるエリア。見方次第で様々なメッセージが潜むグラフィティーアートが、この曲のコンセプトと繋がった。

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Hackneyは、私が10年前留学していた頃は、犯罪が多発する危険なエリアで、そのため家賃も安く沢山の若者やアーティストが住むようになった。

そのおかげで10年も経てば治安も改善され、そのかわりにヒップでトレンディなアート、カルチャースポットとして、今では日本で言う吉祥寺的な存在になっている。

ロケハンも自分で行い、撮影ポイントを決めて絵コンテを描いていく。

スタッフはカメラマン、そしてアシスタントさん、ワーホリでロンドンに来ている日本人のヘアメイクの方の3人で決行された。

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ここで、カメラマンとアシスタントさんの他にもう一人スタッフがいることが大事になってくる。

使用機材は高価なものばかりなので、特にハックニーでは、荷物の見張り番も必要になってくるのだ。

そんなDIYな撮影も、念入りなロケハンのおかげでスケジュール通りに無事終えることができて、編集作業も自分で楽しんで行うことができた。

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オーディション潜入part2

 

ここでこのオーディションで歌った曲の解説を少し。

“Famous”という歌で、これには皮肉を込めたストーリーがある。

色々な音楽業界の人たちと話す機会をいただいてきたが、彼らのフィードバックの共通点はただ一つ。

『有名になったら会いに来てね。そしたら美味しいとこだけ持ってくよ』

ここまでストレートには言わないが、意訳はみんなこんなもんだ。

それを”See me when you’re famous”という歌詞で歌にしたのがこの曲。

音楽関係者と謳う審査員の前で歌うんだったらこの曲がピッタリだろうと考えた。

アレンジは、声のサンプリングと変わったビートで、音のユニークさを工夫した。

これに声が乗って曲が成り立つ。つまりアカペラで歌っても間のリズムがないので成立しないのだ。

退屈極まりない表情の審査員の前で、安物ラジカセからうっすらリズムが流れる。

全然聴こえないからタイミングが一小節ズレるが、誰もこの曲を知らないので『あえてのズレですよ』風にすまして歌を続ける。

しまいにはワンコーラスで時間がないからとCDを止められる(私を含め後半の順番の人たちはみんな途中で切られていた)。

環境ひどすぎ、、

時間がないのは理解できても、出演者への配慮とリスペクトが全然感じられない。

そんなもの必要ないとでも思ってるのかな??

アマチュア、プロは関係ない。音楽そのものへの敬意の問題だ。

そんな敬意がない人たちが作ったこの環境は、英語(or日本語)が分からない人たちがその国の文学を評価しようとするようなものだ。

日本で良い環境で活動させてもらってきた私の期待や理想が高すぎるのかな??

それともどんな状況でも最大のアピールができる柔軟な実力が必要?

または、そもそもこういったお金集め目的臭漂う嫌な予感がする状況に自分を置かないようにすることが大事?←コレですね。

ということで、イギリスのソングライティング・オーディション潜入レポートでした!

おススメ度 ★☆☆☆☆

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ソングライティング・オーディンションを受けてみる

初めてのことにチャレンジ、がテーマのイギリスでの活動。

イギリスでリリースする予定の楽曲をとにかくより多くの環境で聴いてもらおうと、色々なことを試してみている。

ネットで調べてみると、沢山のソングライティングコンペティションがある。

参加費を払って曲を『業界の』人に聴いてもらうというものだ。

明らかに良い予感はしなかったのだが、見事その予想は的中することになる。

今やPR会社とシングルリリースの話も進んでいる。ここでオーディションに参加する意味は全くない。つまり完全な取り越し苦労だ。

お世話になってきている自分の音楽出版社からも、『そんなところで何やってんの?』と言われるだろう。

分かっていながらも、イギリスのオーディションってどんなかんじなんだろう、という好奇心の方が勝ってしまった。

こうとなっては完全にブログ用の潜入レポートだ。

まずはホームページから申し込み。一曲いくらという仕組みだ。ちなみにソングライティング部門は£10。

申し込みは全国から来るので、地域によって様々な会場で審査員の前でのオーディションが開催され、各会場を割り当てられる。

私が参加したのは、カムデンの老舗ライブハウス、Dingwallsでのオーディション。

img_7994 img_7995当日驚いたのは、ライブ会場なのに音響機材が一切使えなかったこと。それだったらどこかの会議室でやっても同じなんじゃない?と疑問。

参加者はやはりキャラが立っている。ギターの弾き語りスキニーパンツ系男子。アフロヘアーファンキー系女性。歌のレベルはバラバラ。しかもマイクがないので声が聴こえない人もいる。

面白いもので、やはり人気の歌手の真似風の歌い方が多かった。女子はしゃくり上げながら上下するアリアナグランデ系。男性はハスキーなエドシーラン系。

日本のオーディションは行ったことがないが、きっと日本でもみんな人気の歌手の真似をして練習しているのだろう。男子ならエグザイル系とか。

審査員はメジャーレーベルからの○○さん、が4人並んでいたが、正直一刻も早く終わってほしいオーラを出しまくっていた。

実際に私の順番が来たときには、顔も上げない。

CDのバッキングトラックを持って来てもいいとのことだったので、スピーカーがあるかと思いきや、安物のラジカセ。しかも音がめちゃめちゃ小さい!

ボリュームを少し上げてほしいと言うと、『十分大きいよね?』と一言。

カチンと来たがここは笑顔でうなずき、自分の出番が始まった。(つづく)

~観光編~イギリス全土に広がる、生きた博物館

田舎暮らしを始めてから、週末車で郊外へ出かけることが多くなった。探してみるとそこら中に面白歴史スポットがゴロゴロ見つかるからだ。

ロンドン以外のイギリスと言えば、自然とパブ、そして歴史のあるお屋敷。18,19世紀で時が止まった建物が、今でも点在しているのだ。

それらの多くは代々由緒ある一家(リアル伯爵系)に受け継がれてきたのだが、いくら豪邸でも300歳にもなると管理が大変らしく、今ではそれらの多くをNational Trust という団体が管理している。

とあるTV番組では、放置されて散らかり放題の屋敷をOCD(脅迫性障害)の潔癖性の人たちが掃除しまくる、という企画があるぐらいだからイギリス人も色々と考えるものだ。

イギリス全土のお屋敷だけでなく、広大な庭や森などの敷地500カ所近くがNational Trustの管理下にあり、会員になるとそれらの施設にどこでも無料で入る事ができる。

(ちなみに入場料は各施設£15ほど、年会費は一人£60ほどなので、頻繁に訪れるなら会員になった方がお得だ。)

だいたいの屋敷は壁一面を埋め尽くす絵画コレクション、彫刻、ゴージャスなインテリアで溢れ、それら一つ一つに一族の興味深い歴史が刻まれている。

最近訪れたHatchlandsという屋敷とお庭(森)で発見したのは、なんと50近くものキーボード。

ショパンやマーラーが持っていたというヴィンテージピアノから、美しい装飾が施されたハープシコード、四角い机のかたちをしたクラビコードなど、楽器好きにはたまらないコレクションだ。

ゴージャスな部屋にピアノが敷き詰められるように沢山置いてあり、オーナー家族は普段普通に弾いているという。

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団体が管理しているというものの、それらの屋敷には今でも二階部分に家族が住んでいるパターンが多い。公開されている屋敷のリビングの一部分に小さなテレビと家族写真が並べれられていて、一部が庶民的になっているところも面白い。

こちらのPetworthの屋敷には、もともと使用人たちの屋敷だった別棟があり、ここれは昔のキッチンがそのまま再現されていて、食生活や暮らしぶりをより身近に知る事ができた。

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お庭がこの広さというのも凄い。巨大な池があって野生の鹿が生息している。

Stourheadという屋敷には数奇な歴史があった。この屋敷を第一次世界大戦前に受け継いだ一家。幼い子供を連れたその家族には、家が火事にあったり、戦争中に兵士の療養施設として開放したりと波乱が待ち構えていたが、最大の出来事は、立派に成長した一家の息子が戦死してしまったこと。お屋敷には息子と両親との手紙のやり取りや写真などが展示されていて、各部屋ごとにそのストーリーが紐解かれるレイアウトになっていた。

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様々な物語が、これらの場所では時が止まったように呼吸を続けている。(霊感ある人とか見えまくりスポットかも。)

この他にもまだまだ沢山の物語に遭遇できるのを楽しみにしている。

~番外編~イギリスでのドライビングレッスン

高校卒業後すぐ免許は取ったものの、ペーパードライバーのまま十年以上経ってしまった。

しかし今住んでいるのは田舎。駅まで歩ける距離だし車がなくて困ることは一切ないが、何かあったときに旦那さんしか運転できないのは心配、

ということで、イギリスでペーパードライバー教習を受けてみる事にした。

こちらでは日本のように教習所に通うのではなく、個人の先生から一般道で学ぶようだ。

インストラクターはもちろん助手席にブレーキのついた車で、その資格を取るのも難しいらしい。

今回私が教えてもらったインストラクターは、定年後という明るい初老のおじさん。おしゃべりで車を止めてしゃべっている時間も長かったが、丁寧に教えてくれた。

イギリスの道路は相当クセものだ。

なぜかというと、極度のめんどくさがりや伝統を重んじるイギリスでは、馬車を使っていた時代から道路幅を変えていない道路がいまだに多いからだ。

そんな道路に路駐だらけだから、対向車に常に気をつけなければいけない。

そしてもう一つの大きなクセものが、ラウンドアバウト。信号のない交差点で、ぐるぐるまわりながら3~4つの出口から自分の出口を見つけてタイミングよく出入りしないといけない。

このときウインカーを出さないといけないことになっているんだが、ほとんどの車が出さない。

なのでインストラクターに言われたことは、『誰も信用しちゃだめ!他の車は何するかわからないから全部疑って!』というアドバイス。

そしてラウンドアバウトに入る前に自分の出口行きの車線にいないといけない。どの車線かの標識は木々の枝に隠れて全然見えなかったりする。ちゃんと枝カットしてー!

日本よりもアグレッシブなイギリスのドライバー。

隠しカメラ大国なのでスピードを出し過ぎには注意だけど、遅すぎはもっと嫌がられるという。

私の性格上(加減が分からない、色々てきとうで雑、方向音痴、、)運転には向いていないことは分かっていたが、案の定思ったより多くのレッスンを受けることになってしまった。

ウィンカーってどっちだっけ?日本の車は違うんだよね~と言い訳をいいながらワイパー出てしまったり、カーブのスピードでインストラクターがスイングしてしまったり、、

何はともあれ無事に車に傷を付けずに一通りのレッスンを終えられただけで何よりだ。

日本語vs英語 発声法の違い

腹式呼吸はクラシックな歌の勉強では基本的な知識かもしれないが、日本のポップスのジャンルでは実は意識されることはあまりない。実際にJ-POPの音楽を聴いても喉から歌っている歌手が少なくない。

それと比べて英語圏の歌手は、ポップスでもほとんどが自然に習わなくても腹式呼吸ができている場合が多い。

この日本との差はなぜなのか?と考えてみたときに、2つの言語のとある特性が思い浮かんだ。

―英語は言葉の中で母音を伸ばすことがとても多く、喉を開放しながら話す事ができる。

たとえば

How Are You?

は3回大きく伸ばすところがあるのと比べて、

日本語は

オゲンキデスカ?

と(アイウエオ以外)全ての音に子音が入っているので、短い呼吸で小刻みに発声するため、

毎回深く腹式呼吸しているひまがないのだ。

そのため、歌うときもつい喉から発声する癖がついてしまっているのではないだろうか。

よって英語圏では、腹から声を張り上げていくホイットニーやマライヤ系のアーティストが多く自然発生し、日本ではうわずった声(特にビジュアル系はそれが顕著)系が多発するのかもしれない。

今密かに個人的に日本での英語教育についてのプロジェクトを考えているのだが、もしかして『呼吸』から意識すると日本語に慣れた舌でも英語が自然な音で発音出来るようになるのかもしれない。

言語と発声法の関係、これからもっと研究していきたいものだ。

イギリスで初めてのボイストレーニング

イギリスでの習い事シリーズ。

歌手というものを12年間やってきた中で、実は一度もボイトレというものを受けた事がない。

ボイトレをすると自分の歌い方の個性が失われてしまうとデビュー当時から言われてきたからだ。

イギリスでの目標はアーティストとして成長する事、が一番。それに関わることなら何でも試してみたいと思っているので、ここで初めてのボイトレを受けてみる事にした。

ボイトレの先生は、日本の劇団四季、ニューヨーク、ロンドンと、クラシックからニュージカルまで幅広く学び経験を積んで来られた日本人のIさん。

レッスンでは、今までの自分の歌への考えが覆される発想を学ぶ事ができた。

今まで自分の身体を楽器として考えたことはあまりなかったが、つい肩で呼吸してしまっている癖、高音になると喉に意識が言ってしまう癖など、沢山の改善できるところに気付くことができた。

喉はあくまでも通気口で、お腹のまわりを膨らませるようにして声を出していくレッスン。

お腹に風船に空気を入れるように、だんだんストレッチさせていくと、体全体の酸素の循環も良くなって爽快な感覚だ。何度かのレッスンで、今迄出せなかったキーも喉を意識せずに出るようになった。

むしろ意識しなければしないほど良い声が出るというのが不思議だ。

パフォーマンスレッスンと同様、このレッスンも、全く違う歌い方を身につけるのではなく、自分の声の個性の最大の力強さを引き出すこと、そして喉への負担を最小限にすることが大事だということが、大変参考になった。

もっと早く知っておけば良かった!というほど目からウロコのレッスンだった。

パフォーマンス力を身につけるには?part2

今回パフォーマンスコーチングをしてくれたリチャードさんの勤める会社、Grant Pearson Brown Consulting Ltdは、大企業のリーダークラスの人たちにスピーチやプレゼン、ピッチング、メディアインタビュー等のコーチングをしているという。

具体的には、話し声のトーン、間の取り方、視線やジェスチャーなどを科学的に分析して、より説得力のあるパフォーマンスへと導くという方法らしい。

更には、心理学的に効果的な仕草や話し方もあるという。これらをほんの少し心がけるだけで与える印象を大きく変えることができる。

トレーニング方法としては、実際に話しているところをビデオに撮ることなどで自分の癖にまず気付くことから始まった。

自分の癖や印象は、本人が一番気付かないことだったりするからだ。

面白いと思ったのは、プレゼンテーションでは、実は話す内容よりもそれを『どうやって』伝えているかということが相手にとって一番印象深いという研究結果。

一回目のトレーニングを終えた後は、今までのパフォーマンスへの概念から、より客観的な観点を意識できるようになった。

それは無理矢理欧米風のオーバーアクションな話し方を身につけるのではなく、自分の個性や芯の強さを最大限に表現することが肝になる。

大事なのは、聞き手が何人であろうと、それぞれ一人一人に語りかけている空気を創り出す事、というアドバイスが印象的だった。

そんなことを心がけるのは、人前で話すのが苦手な自分にとっても、決して難しくないのだ。

今後日本でもこのようなコーチングの需要が高くなっていくに違いない。

ステージだけではなく日常生活やビジネスのコミュニケーションでも生かせるスキルだ。