音楽業界ジャングルに潜む罠

今朝のニュースで、「モデルデビューできると言われ、撮影費として何十万も請求されたが、その後連絡が途絶えた」というクレームが取り上げられていた。

このようなブラック企業は日本にも多く存在するが、あまり大々的に社会問題になっているイメージはない。

イギリスでは、これらのブラックなトラップは、至る所に溢れている。

いつも日本とイギリスの音楽業界の比較を例えるときに、『きちんと敷かれたレール』(日本)と『野生動物が溢れるジャングル』(イギリス)と説明している。

イギリスの『ジャングル』感をさらに説明するために、今回は私が遭遇した『トラップ(罠)』をご紹介する。

『野生動物』が潜むジャングル

野生動物とは具体的に何なのか、それは、とっても単純。

『自分の利益を第一に考える』

『申し訳ない』とか『空気を読む』という発想は弱みになり、少しでもそんなそぶりを見せれば容赦なく騙される。日本の美徳が、イギリスでは恥と捉えられる部分も少なからずあると思う。4年間のロンドンでの大学生活、その後また2年イギリスで暮らしてみて、文化の違いは十分解っていたと思っていたが、何年経ってもまだまだ日本人らしさが出てしまう。むしろ時間が経つ程、日本人としての自覚が高くなるので、より日本人らしさを意識してしまうとも言える。

『トラップ(罠)』シリーズ

サバイバルゲームを想像してみてほしい。ジャングルの中、様々な落とし穴やトラップが仕掛けてある。イギリスの音楽業界というジャングルに仕掛けられる罠(詐欺とのグレーゾーン)を、ここでご紹介。

その1 ラジオ プロモーター

メールの一文から始まる。

『君の楽曲を聴いて気に入った、ラジオの宣伝をさせてくれ』

イギリスにはプラガーというラジオ宣伝専門の仕事があり、多くの実績を持つ個人プラガーや事務所もある。

自称プラガーというこの方からのメールに、詳細を教えてほしいと返信すると、宣伝プランのパワポが送られてきた。主要ラジオ局に宣伝してくれるという、内容だけ見れば理想的なプラン。しかし日本での自分の経験上、ラジオにアプローチしたところで(よっぽどのメジャーレーベルのプッシュがない限り)曲がオンエアされる保証はない。更には、プロモーション費用として800ポンド(十数万円)かかるという。一度スカイプで話を聞きたいとメールしたら、そこで連絡が途絶えた。なるほど、活動し始めのアーティストをターゲットにメールし、お金だけ先に振り込ませて何もしないとか、アプローチしたけどダメだったとか言い訳を言うのだろう。

その2 イベンター

タチの悪いライブイベンターの定番となっているのが、『ペイ・フォー・プレー』つまり、出演者側が売れなかったチケット分を払うという方式。

とあるイベンターからのSNS経由でのメールには、ロンドン中のライブハウスの日程が送られ、出演したいイベントが選べるという。

〇〇(そのイベンター名)scam(詐欺)で検索すると、『ロンドンライブ情報・ブラックリスト集』サイトなど次々と警告の書き込みが出てきた。

その3 プロモーション、マネジメント

これは個人的に遭遇したことはないが、よくあるパターンが『ソーシャルメディア・コンサル』。これは詐欺だとは言えないし、上手くやればフォロワーが増える可能性もある。

だが最近はどのSNSサイトも、ユーザーの場所、年齢層、趣味等、細かい分析レポートが分かる。個人でも観れるこの情報レポートを、いかにも『私たちプロが分析しました』のように提示してきて、広告費を勧め、その上コンサル料を取る…facebookなどに広告費を出し、少しフォロワーが増えたところで必ずしも直接集客などに繋がる訳ではないところが難しい部分なので、これはあくまで個人的に予算の余裕と費用対効果を信頼できるか、という問題になってくる。

もちろん信頼のおけるプロモーター、イベンター、マネジメントも多数存在する。一番大事なのは、相手の顔が見えるかどうか。

そして金銭面での約束事は必ず事前に書面で交わしておく事。

特に日本ではルーズになってしまいがちなこの項目。良い関係を築くためにも、どんな人とも「疑い」という先入観から始めるようにしている。

海外に挑戦することをやめた理由 The art of not giving a f

『海外に挑戦する』なんて、架空の言葉であることに気づいた。

イギリスで『挑戦』するのに一番助けられている戦力は、ほぼ全て日本から来ている。音源制作やミュージックビデオ、ストリーミング、、日本のスタッフの方の真心や会社の仕事のクオリティーは、間違いなく世界最高水準だ。

『挑戦』とは、より強い相手に挑むような意味合いだが、実際には日本人は大変仕事ができるし、優秀なクリエイターもたくさんいる。挑戦なんてする必要ないのだ。決して傲慢になっているわけではなく、実体験からして、明らかなことなのだ。
ではなぜ海外と日本を比べた時、どこかで劣等感につながる傾向にあるのだろうか。

その原因はただ一つ、『自信』。

日本では正解を求められるけど、イギリスでは、正解は一つではなく、自分の意見や個性を主張するという態度が『正解』であるという国民性がある。そして本当に、逆に感心するぐらい、自信に満ちている。

正直、ここ数ヶ月色々悩まされることがあったが、何事も捉え方次第で、そんな一連の出来事を通して、更に自信がついた。今までは、現地の誰かに認めてもらわないといけないんじゃないかと思っていた。だけど気づいたのだ。自分の信念と声がある限り、誰かに認めてもらう必要はない。

自分が自分を認めること、自分を信じること。

もしかしたら日本の社会、教育、文化、
色々な要素が、それらを押し潰している傾向はなきにしもあらずだが、逆にその優秀な協調性のおかげで、日本クオリティーの素晴らしいモノとサービスがあるということも事実。

もう、イギリスの誰にも認めてもらわなくていい。
なぜなら、彼らには消して真似できない、奪えない、個性と声を持っているから。

そして自信を補強していくのは、努力のみ。

だから、もう「海外」に挑戦はしない。

海外にいようと日本にいようと、「自分の自信」に挑戦し続け、実力を上げて行くのみ。
インターネット、ソーシャルメディアで、どこにいてもなんでもできる時代。

もう、誰にも、(イギリスにも)振り回されない!

Culture shock comes in different ways.
It’s been two years since I moved back to the UK, but I’m constantly experiencing a cultural paradigm shift; what I thought was the very fundamental common sense is not always the same case.
And in the midst of this culture shock, I might have discovered the ultimate virtue of Britishness-

The Art of No Giving a f

Seriously. Where do you think punk came from?
Monty Python?
Oscar Wilde, Shakespeare, and Chaucer?

The chaos in this Kingdom creates a cultural and cognitive paradigm shift, and it’s good for the creativity, because it betrays all your common sense. I’d like to take that as a positive thing.

I thought I moved to the UK to “challenge” the UK market. But recently I realized that there is nothing to challenge against, because music is not a competition. It can’t be ranked, it can’t be categorized.
“We don’t know where to place you” was the phrase I often heard about my music. That’s nonsense, because the categories and genres are made up by narrow minded leaches who want to make money out of music by pretending to sound like they know what they’re talking about. But they have no idea, nobody has any idea.

So I’ve made up my mind to challenge one thing;

my own confidence.

The only thing I’m going to challenge is how much I can believe in myself, and to make all the effort to build performance and  strength to support that confidence.

Best 5 Japanese food to stock in the UK

2度目のイギリス生活、来年の春で早くも2年になる。1度目は18歳のときの留学で、慣れるまでに相当時間がかかった。今回はその頃ほどのカルチャーショックはなかったものの、学生から主婦という環境の違いから、新たに気付いたことも沢山ある。
まずは食事。学生時代は一時期林檎とチョコレートをかじって生き延びていた時期があり、3ヶ月で3キロぐらい太った。今はそんなムリをしたら身体が耐えられない年齢になってきたので、特にイギリスに来てからは和食をメインに作っている。しかも日本にいたら手作りしてなかったもの。たとえば、天ぷら、お好み焼き、竜田揚げなど。コンビニもお惣菜屋さんもないイギリスだからこそ、色々と工夫しながら料理するのもまた楽しい。
お米への追求も増して、日本から色々な種類のお米を調達したり、鉄釜で炊いてみたり、試行錯誤を繰り返したが、結局は日本製の炊飯器を送ってもらって変圧器をかけて炊くのが一番美味しい、という結論に至った。

ここでいきなり、海外生活に欠かせない日本食材ベスト5。

5.片栗粉
 日本にいたらありがたみが薄かった片栗粉。炒め物やさっぱりした揚げ物、天ぷらに使うだけで食感が変わってくる、影の立役者。調べてみたらイギリスではpotato starchというらしいが、やっぱり日本のものとは粉のきめ細やかさが全然違う。
4.フリーズドライ味噌汁
 旦那さんが味噌汁を飲まないので、一人分だけ作るのは面倒、というときにお湯を注ぐだけ、やっぱり味噌汁の味は日本の味。
3.茅乃舎のだし
 海外在住日本人の心の友、茅乃舎だし。野菜だしはスープや洋風の煮物に、あごだしはうどんや和食の煮物に、、色々な種類を試してみたが、一番好きなのは「極みだし」。シンガポールの日本人主婦の間でも人気だったなぁ
2.そば、うどん
 うどんは、つけ麺用の細麺がお気に入り。いつだったか、スーツケース1個全部そばとうどんで帰ってきたことも。
1.カマダのだし醤油
 やっぱり一位は醤油。基本的に、醤油、みりん、酒があればなんでも和食「風」になるもの。みりんと酒は砂糖などでいざとなれば代用が効くが、醤油はやっぱりここのが一番。ぽん酢醤油、刺身醤油と、色々な種類も嬉しい。(あ、賞味期限、、)

【番外編・引っ越しました】500-year-old new flat

先週末、引っ越しをした。

We moved house recently-which was my 20th move in my life. Not that I have lived a nomadic life, somehow I have had the habit of moving around, even 5 minutes away or within the same apartment block.

数えてみたら、なんと人生で20回目の引っ越し。色々な地を転々としていたというわけではないのだが、なぜか近所や同じマンションでの引っ越しなど、無駄に引っ越しグセがある。昨年イギリスに越してきたときは、物件を見て回る時間もなかったので、オフィスブロックを改造したフラットを仮住まいとした。これが投資目的のチープな造りで、(ちょうどロンドン火災でも話題になっているが、安い素材を使ったこういった物件が増えてきて厄介なようだ。)色々困らされた住居だった。なんだかんだで良い物件を探し続けて約一年、やっとコレという場所を見つけられたのだ。

Last year we initially moved in to an converted former-office flat in a trading estate that we thought would be temporary until we find a proper place, but ended up taking ages to find the right home. After an endless search, we found “the one”, a 16th century grade2 listed flat in the centre of a lovely Surrey town.

その物件は、なんと16世紀に建てられたという、町の商店街の店舗の2階部分。映画「ホリデー」の撮影地にもなった味のあるこの町は、ほとんどの建物が500歳ぐらいだ。建物自体は変わらず、店舗だけ入れ替わってきた歴史がある。

築500年の歴史を感じさせる家のパーツたち。新しいスタジオは窓がお気に入り。Parts of the flat that shows the history of 500 years. The window is the feature of the new home studio.

イギリスで引っ越し業者を使うのは初めてだったが、パッキングを1からやってくれて、割と丁寧に包装してくれた。荷ほどきは自分たちでやることになるが、2ベッドルーム、パッキング込みで12ー3万ぐらい、日本とあまり変わらないかな?

引っ越しを通し、てまた日本との面白い違いについても気付かされた。いくつかご紹介する、、

イギリスでの引っ越し①引っ越し業者スタッフが断食中

これはイギリスならでは、というわけではないが、今回たまたま利用した引っ越し業者はイスラム系だった。今はちょうどラマダン、断食の時期。ということは、太陽が出ている間は飲まず食わずが基本のルール。ただでさえ過酷な労働の引っ越しという作業を、朝から晩まで断食しながらこなすというハードな彼ら。無事難なくこなしてくれたが、自分には絶対むり!

②掃除は自分で

日本のように敷金から掃除代が引かれるのではなく、基本的に自分たちで引っ越す前に近い状態に戻さないといけないという。日本のような謎の礼金システムはないが、その代わりどれだけ口実を作って後で差し引かれるかもわからず、ちょっと不安。ただ、イギリスでは敷金は第三者の管理会社によって保管されている為、大家や不動産屋による敷金の返金拒否はできないようだ。

(後日談:自分たちで隅から隅まで掃除、敷金は無事返って来ました!)

③音楽はご近所迷惑?

新居のご近所さんに挨拶して、ミュージシャンだから音気になったら言ってねーというとみんな口を揃えて、「音楽好きだからどんどん音出してー聴けるの楽しみにしてるー」と言ってくれる。まだ引っ越して間もないので社交辞令かどうかは定かではないが、この感覚は日本との少し違うのかな?

(後日談:引っ越して2ヶ月、今の所苦情は来ていません〜!)

ちなみに

新居のカーテンを作ろうと思って、ロンドンの個人的な聖地、リバティーデパートを訪れたが、生地がどれも高すぎて断念、、月末にモロッコに行くので、そこで生地を調達できればと思っている。美しすぎるリバティーの生地を、写真だけでも。

(後日談:パリで生地を買ってカーテン作りました〜)

 

 

 

 

 

 

イギリスの田舎でタイムトラベル

夏目漱石が『倫敦塔』でロンドンの情景を表した、こんな一節がある。

見渡したところすべての物が静かである。物憂げに見える、眠っている、
皆過去の感じである。

漱石の時代から既に『過去の感じ』だったロンドンだが、今でもそのなんとも言えない憂いと、時空の停滞感は健在だ。むしろロンドンはいいほうで、郊外に足を運ぶと、更に500年ぐらいタイムスリップした感覚が味わえる。

以前紹介したイギリス各地に点在するナショナルトラストの屋敷をはじめとし、田舎を探索すれば数々の名所が何百年も全く変わらずに存在している。個人的に19世紀の風景画が好きなのだが、ゲインズボローやターナーなどによる名画の元になった風景が、田舎に行けばそっくりそのまま広がっているのだ。


Thomas Gainsborough “Wooded Landscape with a Peasant Resting”

絵のモチーフになった場所ではないが、こちらはStourheadというお屋敷の広大なお庭。


当時の風景画家達が魅了されたのも納得がいく絶景。

先日、11世紀末創立という歴史を持つオックスフォード大学を訪れた。
街並み、大学の建物はもちろんのこと、学生の日々の習慣も伝統を重んじられているようで、時を知らせる鐘の音からもその歴史が伝わってきた。

滞在先は、学生街から車で40分ほどのAylesburyという村の古民家だったのだが、ホテルや結婚パーティー、映画やドラマの撮影場所としても貸し出している大きな邸宅だった。家主さんが、大きなセントバナード犬とともに出迎えてくれた。
この建物、なんと14世紀に建てられたという。敷地内に牧場もあり、自家製の豚や鶏を朝食に出してくれた(可愛い子ブタちゃん達を観たあとだと少し気がひけるが。。)


オックスフォードからさらに北上すると、
世界遺産に登録されているブレナム(Blenheim)宮殿がある。宮殿というだけあって、イギリス・バロック様式で建てられた豪華な建築で、18世紀はじめにマールバラ公ジョン・チャーチルの邸宅として完成された。苗字からご察しの通り、この方の子孫は第二次世界大戦中に首相を務めたウィンストン・チャーチルである。宮殿ツアーを散策すると、元首相が産まれた部屋が当時のまま再現されていた。この宮殿ツアーには、細やかに動く人形などを使ったオーディオビジュアルツアーもあり、さすが世界遺産なだけあって、観光客を魅せる工夫が一段となされていた。


公爵といいつつもこの家系は一時自己破産しかけ、第9代公とアメリカ人大富豪の娘の結婚のおかげで宮殿を持ち直すことができたという。(個人的にこのアメリカ人妻に興味を持って、彼女の自伝を買ってしまったぐらい。その本には、お嫁入りした際に写真のパイプオルガンの演奏を聴いたことなどが書かれている。)さらにウィキペディアによると、現公爵である第12代マールバラ公は薬物中毒者として著名だそうだ。有り余るお金と伝統、名誉ある称号を背負って産まれてきたイギリスの上流階級の実態は、デカダンで破天荒な一面もあるのかもしれない。

Happy New Year 2017!!

新年あけましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

年越しは、紅白ではなくイギリスの音楽番組、Later…with Jools Holland の”Hootenanny”特番を観ていました。フーテナニーとはスコットランド語でパーティーやお祝いという意味だそうです。ピアニストであるJoolsとビッグバンドとのセッション、豪華ゲストとのコラボでなかなか渋いカウントダウンでした。

この番組、南アメリカの民族音楽が奏でられる横でポールマッカートニーが歌っていたり、無名でも素晴らしい才能をいち早く紹介したりと、ブッキングの人凄いといつも唸るゲストのセレクションなんです。2017年の目標は、このイギリスきっての音楽番組に出ること。今年も最高の一年になりますように!!

 

 

 

冬のロンドンから、おススメお土産

個人的なセレクション。

まずは高級老舗デパート、リバティーのキッチンタオル。このデパート、外観が素敵で有名なのですが、そんな建物をプリントした、キッチンインテリアとしてもワンポイントになる実用品です。img_8721ウィリアムモリスのハンドクリーム

エキゾチックな植物を壁紙などテキスタイルで有名な、ウィリアムモリス。インテリア品だけでなくハンドクリームにまで手を出し幅広く展開しているようです。見た目も可愛いし、小分けで配れるのもいいですね。img_8719

イギリスの定番おやつと言えば、紅茶と相性抜群のショートブレッドクッキー。コロコロ転がるこの缶、子供も楽しめそう。サンタバージョンもありました。
img_8720お世話になっているギタリストの方への土産は、店員もお客も9割日本人だった、ベーカーストリートのビートルズショップで買ったギターストラップ。img_8718冬の乾燥対策に心強いワセリン。イギリスのブランドlulu Guinessとのコラボの缶がキュート。

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あとは、イギリスといえば紅茶かな?

とはいえ、有名紅茶ブランドはほとんど日本で買えるし、包装もイギリスなんかよりよっぽどきちんとしていたりするので、イギリスならではの紅茶は、スーパーで売っている大量ティーバッグかな?こちらでは一日何杯も紅茶を吞むので、業務用のようなボックスで売られているんですね。

 

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日本で売られてる紅茶の方がよっぽど見た目は素敵でしょ

日本ホームシック現象

2014年にシンガポール、今年からイギリスと引っ越して来て、ふと気付いたことがある。

それは、日本から距離が離れるほど、日本へのホームシック現象が大きくなるということ。

ホームシックといっても、帰りたいシクシク、というものではなく、日本のあらゆるもの(サービス、文化のクオリティ、特に食)がたまらなく眩しく思えてくるのだ。

手に届かない程魅力的に思えてくるのかもしれないが、これは異常なほどに顕著に見られる。

例えば日本食。日本に住んでいたときは和食にこだわっては料理をしていなかったが、今では和食本を日本から取り寄せてまで毎日のように日本食を作っている。

蕎麦などは勿体なくてお店でもないのに自宅で蕎麦湯を吞んでしまうほど。。

そして外出時でも、ロンドンの和食屋を探してしまう。日本で一人ラーメンはまず行かないが、ロンドンで用事があるときは余裕で一人ラーメンランチをする。

電車が時間通りに来ることも、コンビニのサンドイッチが普通に美味しいことも、イギリスではまるで奇跡。

この雨の多い国で『雨だから』と洪水もしていないのに電車が止まったり、パッサパサの味気ないコンビニのサンドイッチしかなかったり、毎回小さく心が折れそうになりながら、

改めて日本の素晴らしさを痛感するのだ。

日本は仕事が細かくてきっちりしているが、その分良い意味でも悪い意味でも、視野がとても近いのかもしれない。だからこそこのぐらい離れてみると、日本のことを客観的に見れて、世界基準から観てもどれだけ素晴らしい国か、あらゆる意味で異質か、そして食文化の優秀さをかみしめることができるのだ。

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醤油、ごま油、みりん、味噌まで、イギリススーパーの日本調味料シリーズ。 豚肉薄切りが売っていないのでベーコンを代用。
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ロンドンでは日本酒(sake)とラーメンというオシャレ食なイメージ。
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素晴らしすぎる日本食屋さん、Wazen.しかし発見してすぐに閉店してしまって残念すぎる!

イギリスではこんな場所に住んでいます

せわしないロンドン。ミックスカルチャー、エリアによっては移民のほうが多い場所もある。
より良い暮らしを求めてイギリスにやってくる移民たちにとって、ロンドンは可能性溢れる夢のような場所に違いない。
それが今やイギリスのEU離脱で問題視され、そのユニークなミックスカルチャー文化も危ぶまれている。
所変わってロンドンのウォータールー駅から電車で45分、サリー州にある閑静な田舎町。石畳の町のメインストリートには、白い壁に木の梁という昔ながらの建物が並び、店舗はリサイクルショップがほとんどだ。
町の中心にはロンドンのテムズ川まで続く川が流れ、鴨や白鳥が優雅に水浴びをし、散歩される犬たちも暑い日には川に飛び込む。
その横には広大な草原が広がり、近隣の国立公園ではより深い森を散策することができる。

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ロンドンの美大に留学していたのが10年前、二度目のイギリス生活はこんな場所で始まった。

旦那さんの仕事場が近いという理由で選んだ場所でもあり、また引っ越し前にグーグルマップのストリートビューで見て一番良い印象だったというのもある。
ある説によるとイギリス内で住みやすい町トップ5に入っているらしい。
それもそのはず、豊かな自然もありつつも巨大なスーパーも徒歩県内にあり、何よりも見渡す限り白人だらけ。黒人でさえ見かけない中で、アジア人を見かけようものなら密かにアイコンタクトを取ってしまうぐらい(とはいえアジア人がいても中国やベトナム、タイ系がほとんど)。階級社会にこだわるイギリス人の中でも中流階級がほとんどで、高級車がスーパーの駐車場を埋めつくす。
そんな中で日本人として暮らすことはまた貴重な体験であり、豊かな自然に囲まれて穏やかな気分になると同時にある種の疎外感のような違和感さえ感じる。
イギリスのEU離脱の投票結果のロンドンと郊外(スコットランド以外)との割合差が話題になったことで、この違和感の実態がなんだったのか腑に落ちた。日本と同じ島国のイギリスでは、基本的に文化としては内向的で保守的なのだ。田舎の道を車で走っていると、コンクリートの道路を土に変えただけで18,19世紀の時代劇の中にいるような気分になってくる。その時代と外見は全く同じパブに集まり、フィッシュ&チップス、サンデーローストなどの(個人的に言わせていただくと)特に美味しい訳でもない伝統料理を毎週食べ、生ぬるいビールを飲み、ガーデニングに勤しむ中流階級の白人たち。刺激的で斬新なカルチャーが街中で見られるのは、ロンドンという独特の場所だからこそだったのだ。

それでもこの環境を楽しみ、なかなかないシチュエーションだからこそ、ユニークな体験として自分のストーリーの一部にしていけたらと思っている。

まずは、家の裏庭の川で毎日見かける、白鳥の親子の歌から作ってみる。

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なぜイギリス?Why UK?

(English follows)

18歳で初めてロンドンで一人暮らしを始めたときは、幾度となくこの質問を自分に問いかけていた。
『何でイギリスなんかに来ちゃったんだろう…』

渡英前に妄想を膨らませていたお洒落で英国紳士なイギリスのイメージは、憂鬱な天気と不味い食事、プライドの高い割に怠惰なイギリス人の態度という現実に掻き消され、夢のキャンパスライフとはほど遠いロンドンの大学生活を送っていた。
けれども不思議とこの国では、憂鬱な天気と皮肉家のイギリス人批評家に挑戦するような斬新な芸術家や音楽が誕生している。
そしてイギリス生活に慣れるにつれて、そんな挑発的なインスピレーションが溢れるロンドンという街がたまらなく面白く感じるようになってきた。

I asked myself this many times when I first came to the UK;

“Why the hell did I come to this place…”

The perception of UK as a land of gentlemen in tailored suits and courteous manners was soon replaced by depressing weather and tasteless food, unreliable yet unapologetic services. However, strangely, this country yields innovation and the rising against the dooms of the weather and the cynical critics, manifested in art and music. Something tipped over after a fews months of living in London, and I began to be fascinated by this aggressive approach and inspiration.

今イギリスで音楽活動をスタートさせたいと思ったきっかけは、他でもない人生のパートナーのおかげだ。
パンクで刺激的な70年代の音楽シーンで育ったイギリス人の旦那さんは、私の才能は日本にとどまるには勿体ないぐらい素晴らしいと絶賛してくれた。
自分でそれを認めているわけではないが、人生で一人でもそんなことを言ってくれる人に出会えたことは、才能を持って生まれる以上に幸福なことだ。
彼は2014年から2年間住んでいたシンガポールからイギリスへの会社の転勤を希望してまで、イギリスでアーティストとして成功するという目標への扉を開いてくれた。

The main reason for coming to the UK was the encouragement from my husband. Having grown up in the 70s surrounded by legendary music scenes in his own country, he suggested that I venture outside Japan because my talent could be nurtured. Having such a strong supporter in my life is the luckiest thing. He moved us from Singapore, where we had lived for 2 years, to the UK to open the gates to new possibilities.

この十数年の間で音楽の届け方はソーシャルメディアの存在で大きく変わった。
「今できた歌を誰かに聴いてもらいたい」と思ったらすぐに発信できる時代だ。
そんな今、イギリスの音楽業界を様々な角度から観察し、自分なりの活動方法を模索してきたいと思う。
初めのステップとして決めているのはデジタルシングルのセルフリリース。
楽曲もマスタリングまで完成していて、リリースをサポートしてくれる人たちとの繋がりも少しずつ出来始めている。

In ten years, social media has shifted everything about how we deliver and listen to music. You can deliver a new song instantly, anywhere you are. I aspire to explore these methods and creative process through releasing singles digitally and working with other talents.

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