初めてのミュージカル楽曲制作

ニューヨークのブロードウェイと並んで、ロンドンではミュージカル、演劇の劇場が沢山見られる。

演劇文化自体はアメリカが誕生するずっと前までさかのぼり、演出はアメリカの派手さに比べてイギリスの演劇は言葉遊びや哲学的なところまで深く追求する傾向がある。

ロンドンに来てからもいくつかのミュージカルを観たが、中でもマチルダは最高に素晴らしかった。6歳の女の子の不思議な才能がテーマなのだが、その子の健気な演技と、ステージセットを巧妙に使った演出、歌も含めてイギリスならではの人間の内面に向かったストーリーテリングだった。

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キンキーブーツは、田舎の経営困難に陥った靴工場が、ひょんなことからドラグクイーン向けのド派手で挑発的(kinky)なブーツを作ることになる、というコメディーだ。これも、ただのエンターテイメントとしてのドラグクイーンショーではなく、人間模様を軸として、人それぞれありのままの趣味趣向を受け入れるというメッセージを伝えてくれた。何よりも素晴らしいのがシンディ•ローパーが手がける音楽。彼女の音楽には不思議と心の芯の部分をワクワクさせてくれる力があり、Time After Timeなどの数曲しか知らなかったが、これを機にもっと聴いてみたいと思った。

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自分もいつかはミュージカルの楽曲を作ってみたい、と思っていた矢先に、ボイトレコーチの方がミュージカルを演出されるとのことで、その楽曲制作の話をいただいた。ストーリーは、日本の物語、赤い蝋燭と人魚。子供の頃に聴いたことがある、悲しく怖さもある物語。イギリスの観客に向けてどんな演出が成されるのか、興味深い企画だ。

楽曲は、脚本をいただいてからイメージを膨らませていく。ミュージカルということでより展開をカラフルに、ドラマチックにできる。今回は劇中の3曲を提供している。

オープニングナイトでは、評論家からも好評なレビューをもらったというこの演劇。もともと地下鉄が掘られた場所だったという、螺旋階段を下った大きな筒状の劇場で、シンプルながら細部までこだわった演出と、パフォーマンスの起伏が印象的だった。イギリス人にも理解し易い説明を加えつつ、日本らしさも十分に盛り込まれた英語版、The Red Candle-Mermaids in the East-は今月20まで公演されているので、ロンドンにお住まいや旅行でいらっしゃる方はぜひ。

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日本語vs英語 発声法の違い

腹式呼吸はクラシックな歌の勉強では基本的な知識かもしれないが、日本のポップスのジャンルでは実は意識されることはあまりない。実際にJ-POPの音楽を聴いても喉から歌っている歌手が少なくない。

それと比べて英語圏の歌手は、ポップスでもほとんどが自然に習わなくても腹式呼吸ができている場合が多い。

この日本との差はなぜなのか?と考えてみたときに、2つの言語のとある特性が思い浮かんだ。

―英語は言葉の中で母音を伸ばすことがとても多く、喉を開放しながら話す事ができる。

たとえば

How Are You?

は3回大きく伸ばすところがあるのと比べて、

日本語は

オゲンキデスカ?

と(アイウエオ以外)全ての音に子音が入っているので、短い呼吸で小刻みに発声するため、

毎回深く腹式呼吸しているひまがないのだ。

そのため、歌うときもつい喉から発声する癖がついてしまっているのではないだろうか。

よって英語圏では、腹から声を張り上げていくホイットニーやマライヤ系のアーティストが多く自然発生し、日本ではうわずった声(特にビジュアル系はそれが顕著)系が多発するのかもしれない。

今密かに個人的に日本での英語教育についてのプロジェクトを考えているのだが、もしかして『呼吸』から意識すると日本語に慣れた舌でも英語が自然な音で発音出来るようになるのかもしれない。

言語と発声法の関係、これからもっと研究していきたいものだ。